賃貸事務所の選び方

オフィスを移転する時、起業して新規でオフィスを借りる時、何を優先して賃貸事務所を選べばよいのでしょうか。各企業によって優先する条件は異なりますが、自分の会社が何を目的として、新しく賃貸事務所を借りるのかきちんと把握しておくことは、オフィス選びの成功に繋がります。今回は、賃貸事務所を選ぶ上でポイントになってくる条件等をご案内していきます。

賃貸事務所を選ぶ際には以下のような条件が自分の会社に適しているかを見極める必要があります。順番にみていきましょう。

・立地条件従業員がアクセスしやすい物件であることが大切です。最寄り駅の乗り入れ路線等を確認しておきましょう。その他、近くにコンビニや飲食店、郵便局、金融機関等があるか、騒がしくはないかなど周辺環境もしっかり確認が必要です。

・契約面積契約面積のうち、実際にオフィスとして使用できる面積の坪数を確認しておきましょう。契約書によって専用面積のみが記載されている場合と専用面積+共用面積の一部が含まれている場合もあります。一般的には、従業員数1人に対し、約1.5坪あれば余裕をもって仕事ができるでしょう。その他にも、必要であれば会議室や応接室のスペースが取れるか等の確認が必要です。

・コスト
賃貸事務所を借りる前にコストの上限を決めておくようにしましょう。毎月発生する費用には、家賃の他に共益費が必要です。その他、契約内容によって水道光熱費や清掃費等が発生する場合もあります。また、ランニングコストといって、契約時には敷金(保証金)、礼金、前家賃、前共益費、仲介手数料、火災保険料等が発生します。物件によって保証委託料が必要な場合もあるので、契約時に幾ら必要なのかを事前に確認しておくことが大切です。

・物件イメージ
毎日通う場所であるからこそ、賃貸事務所の外観やエントランスの内装、雰囲気等も大切です。来客の多い企業様は特に取引先が賃貸事務所に訪れた時に受ける印象についても想像しておくと良いでしょう。物件のイメージが企業のイメージに繋がることもあります。

・設備
実際に仕事をする場所であるオフィス内の設備についてもしっかり確認が必要です。天井高が低いと圧迫感を覚えます。天井高2.7~2.8mあると開放感が感じられるでしょう。また、OAフロアが採用されているかも大切なポイントです。OAフロアであれば床上の空間にネットワーク配線を収納できるため、イスなどを動かした時に断線したり、配線が絡まったりすることを避けられます。さらに、パソコンや複合機等を頻繁に使用する場合には、ネットインフラや電気容量が十分かを確認しておくことも大切です。他にも、電話回線の本数や耐荷重が足りているか、空調システムが個別であるか等についても事前に確認しておくことで、入居後スムーズに仕事をスタートすることができます。また、トイレの設置場所や男女別かどうか、給湯室の場所や広さ、喫煙スペース・リフレッシュスペースの有無も確認しておきましょう。その他、共用部の設備として、エレベーター、駐車場の有無、セキュリティ、耐震設備についてもチェックしておくことをおすすめします。

・他の入居テナント
検討している賃貸事務所に、他にどのようなテナントが入居しているかも確認しておくようにしましょう。1階に飲食店が入居している場合にはランチ等に利用できる反面、匂いが気になる可能性もあります。入居しているテナントによって、物件のイメージが変わり、評価も変わってきますので、必ずチェックしておきましょう。

以上のような条件の中から、自分の会社が何を優先事項とするのかをしっかり決めておくと、入居後に満足いく賃貸事務所を選べる確率が高くなります。また、インターネットで情報を集めるだけでなく実際に物件に足を運んでみることも大切です。気になる物件があったら不動産会社に問い合わせをして内見を申し込んでみましょう。内見時のポイントは、上記に挙げた条件の優先項目をしっかり満たした物件であるかをよく確認することです。長く入居する予定であるなら、物件のオーナーの人柄も大事になってきますので、不動産会社の営業マンに聞いてみると良いでしょう。入居後に後悔しないよう賃貸事務所の選び方をしてくださいね。

保証会社とは

中小企業が賃貸事務所を借りる場合には連帯保証人が必要となるケースが多くあります。法人が賃貸事務所を借りる際には、法人名で契約をして法人の代表者を連帯保証人とする場合が多いですが、起業したばかりの会社や企業規模が小さい場合など、物件のオーナーや不動産会社が不安に感じる場合には保証会社への加入が求められるのです。今回は、賃貸事務所の契約時に保証会社を利用するケースについてみていきましょう。

保証会社とは、物件の借主が家賃を滞納した時などに連帯保証をする会社のことで、滞納した賃料を立て替えて支払います。昨今では、賃貸事務所を借りる際に保証会社への加入が義務付けられることも増えてきました。与信のある一部の上場企業は免除されることもありますが、中小企業で与信能力が低い場合や起業したばかりの企業では保証会社への加入が契約時に必要となることも多くなっています。法人が賃貸事務所を借りる際、契約名義は法人名、連帯保証人は法人の代表者とするのが一般的です。法律上では法人と代表者は別人だとして、このような処置が認められていますが、法人と代表者は実質同一であると考える物件オーナーが多いのも事実です。そのような場合には家賃滞納のリスクを軽減するために借主に対して保証会社への加入を求めてくることがあります。その場合、保証会社によって金額は異なりますが、契約時に保証金や前家賃、仲介手数料に加えて保証会社への保証料を支払うことになります。保証料の金額は家賃の30~100%、また更新時にも更新保証料が必要で、家賃の10%程度の支払い額となるのが一般的です。通常、加入する保証会社は借主側で選択することはできません。 物件の契約時にはただでさえ、大きなコストがかかるため、できることなら保証会社への保証料は支払いたくないのが本音でしょう。しかし、デメリットだけではなく、保証会社に加入することで与信能力の低い企業でも賃貸事務所の入居審査に通りやすくなるなどのメリットもあります。

一般的に次のような条件に当てはまる企業は物件の契約時に保証会社への加入を求められるケースが多くなっています。

・起業から5年未満会社を起業してから年数が浅いと事業が安定して軌道に乗っているのか判断がつかないため、与信能力を不安視されがちです。起業後、おおよそ10年が経過していると安心してもらえることが多いようです。

・従業員数が10人未満会社が小規模であるとオーナーによっては企業の与信能力を信頼してもらえない場合もあります。

・収益が不調賃貸事務所の契約時には決算書の提出が必要ですが、収益が年々下降している場合や債務が多い場合には保証会社への加入を求められることが多くなります。

・仲介の不動産会社が大手物件の仲介を行う不動産会社が大手企業である場合には、保証会社への加入が必須条件となっていることもあります。

・連帯保証人が外国籍法人の代表者やそれに伴う連帯保証人が外国籍である場合、法人が外資系である場合、オーナーからの信用度が低くなり、保証会社への加入が必要となるケースがあります。また、連帯保証人を立てていても保証会社への加入を求められる場合もあります。これは前述したように法人が物件を契約する際には名義を法人名、連帯保証人を代表者とすることが一般的ですが、法律上の問題はないにせよオーナー側からすると実質同一であると捉えられ、連帯保証人と保証会社を組み合わせることで家賃滞納のリスクを少しでも減らそうとするのです。
また借主が家賃を滞納した場合に保証会社が立て替えて支払ってくれることに加え、物件の明け渡しにまで事態が進んだ場合にも訴訟費用を負担するのは保証会社となります。明け渡しが決まった後の原状回復費用も保証会社が支払いますので、オーナーの負担は大変小さくなるのです。このため、最近では保証会社への加入が賃貸事務所を借りるための必須項目となっている物件も少なくありません。借主にとっては保証会社へ保証料を支払わなくてはならないため、移転時の必要コストが上がりますが、保証会社に加入することによって借りられる物件が増えたり、連帯保証人を他に探さなくてはならない煩わしさから解放されるというメリットもあります。

以上のような点を踏まえ、賃貸事務所を新しく借りる際には保証会社への加入が必要か、それに付随するメリット・デメリットをよく把握した上で物件探しをすると良いでしょう。

賃貸事務所契約時にかかる費用と入居後に毎月かかる費用

賃貸事務所を契約する際には、様々な費用がかかります。また、実際に入居してから毎月発生する費用もあります。今回はこの2種類の費用に関して詳しくみていきましょう。
まずは、賃貸事務所の契約時にかかる費用からご案内していきます。

・敷金(保証金)
賃貸事務所を契約する際には物件のオーナーに敷金(保証金)を支払います。これは入居後に、借主の家賃の滞納、過失によって物件を損傷した場合等の担保の意味合いがあります。賃貸事務所を借りる際には、家賃の6~12ヶ月分の敷金(保証金)が必要になることが一般的です。この敷金(保証金)は退去時に一部または全額返還されます。

・礼金
賃貸事務所の契約時に物件のオーナーに支払う費用です。大規模な賃貸事務所では支払うことはあまり多くありませんが、小・中規模の賃貸事務所では家賃の1~2ヶ月分を礼金として支払う場合があります。敷金(保証金)とは違い、退去時に返還されることはありません。

・前家賃
入居した当月の家賃を契約時に物件のオーナーに支払います。入居日が契約日より後の場合でも契約時に支払いが必要となります。また、当月内の入居期間が少ない場合には翌月分の家賃もまとめて前家賃として支払うこともあります。

・前共益費
共益費とは賃貸人が使用する物件の設備の運営を維持するために支払う費用のことです。入居した当月の共益費も契約時に必要であり、これを前共益費と呼びます。入居日によっては前家賃と同様、翌月分の共益費も契約の際に支払いが必要となる場合があります。

・仲介手数料
賃貸借契約が締結された際に仲介をした不動産会社に対して支払う費用です。家賃の1ヶ月分を仲介手数料として支払うことが一般的です。

・保証委託料
物件を賃貸する際には保証人が必要ですが、適当な人が見つからない場合や不動産会社に勧められた場合には賃貸保証会社を活用する場合もあります。この場合には賃貸保証会社への保証委託料の支払いが必要です。

・火災保険料
入居した物件で火災が発生した時のために損害賠償火災保険に加入します。加入する保険の種類によって火災保険料の額は異なります。

賃貸事務所を新規で借りる場合には、契約時だけでなく入居後にももちろん費用が発生します。それでは次に入居後に毎月支払う費用についてみていきたいと思います。

・賃料
毎月支払う家賃のことです。移転前に入居していた賃貸事務所と移転後の賃貸事務所に賃料を支払う時期がなるべく重ならないようにすることが大切です。

・共益費
前述の前共益費の箇所でもご説明した通り、賃貸人が利用する物件の設備の運営や維持に関わる費用です。物件の共用部の水道光熱費や小修繕費、清掃・衛生費、冷暖房空調費、保安管理費などに充てられます。

・水道光熱費
一般の住宅と同じように貸室内で使用した水道、電気、ガスの費用も毎月支払いが必要です。テナント毎に電気、水道、ガスの供給会社と契約を結ぶ場合と賃貸事務所のオーナーが一括で供給会社と契約する場合があります。後者の場合は水道光熱費を毎月オーナーに支払うことになります。

・室内清掃費
大規模な賃貸事務所の場合には室内清掃が必須の場合があります。その際の清掃費は借主負担となります。トイレが貸室外の共用部にある場合には、清掃やトイレットペーパーの交換等は貸主側で行うのが一般的ですが、室内に設置されている場合には借主の負担で清掃やトイレットペーパーの交換も行う必要があります。

以上のように、オフィス移転や起業などで新たに賃貸事務所を賃貸する場合には、契約の際にかかる費用と入居後に毎月発生する費用があります。どのような種類の費用が発生するのかをよく把握しておき、できるだけコストを抑えられる物件を探したいですね。

オフィスを購入するというかたち

オフィス移転を検討する際に、新しい事務所を購入するか賃貸するか迷われる方もいらっしゃるでしょう。特に会社の業績が伸びている時にはオフィスを購入した方がよいのではないかと考えられるのではないでしょうか。今回は、「オフィスを購入する」ということについてみていきたいと思います。

賃貸事務所に会社の拠点を構えている企業様も、業績が好調で今後も拡大が予測できる場合には、オフィスを購入して自社所有の物件に新たに拠点を置こうと考えられる場合もあるでしょう。賃貸事務所を借り続けても、毎月の家賃が発生しますし、資産としては何も残りません。さらに会社としての利益が出れば出る程、支払う税金も多額になるため、それなら購入時にコストがかかったとしても自社ビルを購入した方がよいのではないかと考えられる方も多いと思います。ただし、オフィスの購入はメリットばかりではないのも事実です。
それでは、オフィスを購入すること、そして賃貸することにそれぞれどのようなメリット・デメリットがあるのかを順番にみていきましょう。

【オフィスを購入するメリット】
・物件が会社の資産として残る
物件を購入しても、一括払いでない限り毎月の支払いがあるのは賃貸の場合と変わりません。しかし、購入した物件は会社の不動産資産として残ります。

・減価償却費を計上できる
物件を購入した場合、費用のうち、建物の減価償却分を経費として計上することになります(土地代は計上できません)。その他、固定資産税やビルの管理にかかる費用も経費として計上することができます。さらに、融資を受けて購入した場合には利息分も計上できます。

・物件を担保にできる
新規の事業等を始める際に、購入した物件を担保として金融機関から融資を受けることができるため、資金調達をしやすくなります。

・企業としての信頼感が増す
自前のオフィスを所有していると業績や財政面が安定していると評価され、企業としての信頼度がアップします。

・内装等を自由に変更できる
物件が会社の所有物であるため、壁紙やカーペット等の内装を好みで変更することが可能です。その他にも、電話の引き込み回線数やビルの利用時間等の面でも制約が少なくなります。

オフィスの購入にはメリットばかりがある訳ではありません。次にデメリットをみていきましょう。

【オフィスを購入するデメリット】
・初期コストがかかる
物件購入時の初期コストは賃貸よりも大きくなります。

・企業の拡大縮小への対応が取りにくい
一度物件を購入してしまうと、簡単には移転ができないため、業績の拡大、縮小への対応がしにくくなります。社員数が増加した場合にも身動きが取りづらいでしょう。

・管理費や固定資産税がかかる
賃貸では、ビルオーナーや管理会社が行っていたビル内部の点検・管理を自社で行わなくてはなりません。場合によってはビルの管理会社を外注する必要があります。また賃貸ではオーナーが支払っていた固定資産税も会社に支払いの義務が生じます。

それでは、次にオフィスを賃貸した場合のメリット、デメリットも参考までにご案内します。

【オフィスを賃貸するメリット】
・初期費用が軽減できる
物件購入に必要な頭金等の必要がないため、初期コストが賃貸の方が安く抑えることができます。

・移転等の変化に対し柔軟な対応が可能
業績が伸び、従業員が増大する場合には、オフィスの拡大も考えなくてはなりません。逆に縮小の可能性もあります。このような場合にはオフィスの移転を検討することになりますが、賃貸なら身動きが取りやすくなります。
オフィスを賃貸するデメリット

・資産がとして残らず、支払いがずっと続く
事業を継続している限り、賃料の支払いはずっと続きますが、あくまで賃貸のため会社の資産としては何も残りません。

・利用にオーナーの決めた制約がある
内装や電話回線の数、利用時間等にビルオーナーの決めた制約があり、それを守らなくてはなりません。内装を変更した場合には、移転時に原状回復義務があるため、出費が嵩む可能性があります。

・賃料値上げの可能性
契約更新時期など、賃料が値上げされる可能性があります。

以上のように、オフィスの購入そして賃貸にはそれぞれメリット、デメリットがあります。移転の際には、現在の会社の状況をよく把握して、購入するべきか、それとも賃貸の方がよいのか、最適な道を選ぶようにしましょう。不明な点は信頼できる不動産会社に相談することをおすすめします。

渋谷エリアは新築の大規模賃貸事務所が目白押し

現在、渋谷駅エリアで大規模な再開発が進行中です。この再開発は東京オリンピックが開催される2020年を目途に完了予定であり、その頃には渋谷の街が大きく変貌を遂げていることが予測されます。これ以前にも、渋谷には2000年竣工の渋谷マークシティ、2012年竣工の東急文化会館跡地に建設された渋谷ヒカリエ等、大規模賃貸事務所が増加してきていました。渋谷ヒカリエは、現在では渋谷エリアのランドマーク的存在となっています。
そして現在、新たに複数の大規模賃貸事務所の再開発プロジェクトが進められています。どのようなプロジェクトなのか順番にみていきましょう。
渋谷スクランブルスクエア現在進行中の渋谷の再開発の中で最大規模のプロジェクトです。地上47階、高さ約230mの超高層ビル(東棟)をメインとした巨大な複合施設が建設されます。東棟、中央棟、西棟の3棟から構成され、最も早い東棟の完成は2019年。国道246号線と明治通りの交差する付近に建設されています。西棟はJR渋谷駅を挟んで向かい側の国道246号線沿い、現在、渋谷駅西口バスターミナルがある場所に建設予定です。中央棟は、東棟と西棟の間のJR渋谷駅真上に建設されます。この中央棟は線路上をまたいで、将来ハチ公口まで伸びてくる予定です。現在のスクランブル交差点と近接することから、「渋谷スクランブルスクエア」の名称が付けられました。東棟には渋谷エリアで初となる有料展望台が設けられる予定です。

・渋谷ストリーム
渋谷川沿いの東急東横線跡地に2018年秋、地上35階建て、高さ約180mの超高層ビルが竣工します。オフィスのほか、商業施設やホテル、交流施設が入居する複合施設で、コンセプトを「クリエイティブワーカーの聖地」とし、4階にはコワーキングスペースが設けられます。渋谷ストリームが建設されているのは渋谷エリアで唯一川が地上に顔を出している空間。オフィスワーカーにとって水の流れを間近に感じられる都心のオアシス的存在となりそうです。

・道玄坂一丁目駅前地区
旧東急プラザ渋谷跡地及び隣接街区にオフィス、商業施設の入居する地上18階建て、高さ約120mの超高層ビルが建設されます。竣工予定は2019年秋で、1階には空港行のリムジンバスも発着するバスターミナルが併設されます。コンセプトは「小さな物語の集積」。これまで様々な流行やカルチャーの発信地であった渋谷の街が持つエネルギーを凝縮したような斬新な外観デザインに仕上げられる予定です。渋谷駅西口の新たな玄関として注目を集めることになるでしょう。

・渋谷駅桜丘口地区
東急不動産が手掛ける渋谷駅南西部、桜丘地区の再開発事業によるプロジェクトです。A棟、B棟から構成されるオフィス、商業施設、住宅、起業支援施設が入居する超高層ビルが2020年を目途に竣工予定となっています。この「住む」「働く」「遊ぶ」を兼ね備えた複合施設の建設により、国際都市としての渋谷をさらに強化することが目的とされています。

・宇田川町15地区(パルコ建て替え)
2019年10月に新生渋谷パルコが誕生します。商業施設のほか、オフィス、劇場、展示場等が入居予定で、次世代のグローバルショッピングセンターとして生まれ変わります。この新しいパルコのビルは地上19階建て、高さ約100mになる予定です。

・南平台プロジェクト
東急不動産が入居していた南平台の新南平台東急ビル等4棟をまとめて建て替えるプロジェクトです。大規模な賃貸事務所として2019年3月に完成予定で、低層部にはインキュベートオフィス等の産業施設が入居する予定となっています。建物は地上21階建て、高さ約107mで、3階から20階の各テナントのオフィスにテラスを設けるほか、21階には庭園やラウンジを設置し、オフィスワーカーが快適に働くことのできるオフィスが実現されます。

・渋谷区宇田川町計画(Abema Towers)
現在、10箇所に分散されているIT企業大手の株式会社サイバーエージェントが2019年2月に2箇所に集約されます。その1箇所の移転先が渋谷区宇田川町に建設される地上21階建て、高さ約111mのAbema Towersです。もう1箇所は前述の渋谷スクランブルスクエア。Abema Towersには本社機能、メディア事業、ゲーム事業が移転予定となっています。

・渋谷区道玄坂二丁目開発計画
地上28階建て、高さ約130mの超高層ビルが2022年4月に道玄坂2丁目に竣工予定です。再開発事業を手掛けているのはドンキホーテホールディングスで、店舗、オフィス、ホテル等が入居予定となっています。

上記の再開発は賃貸事務所の建設に関連した事業ですが、この他にも渋谷区役所建て替えプロジェクトや宮下公園の整備事業等が渋谷エリアにて進行しています。
かつては多くの若者が行き交い、ファッションや音楽、文化など流行の発信地だった渋谷は、あまり大人の街というイメージはありませんでした。しかし、近年の再開発により複合施設や賃貸事務所が多数建設されたことにより、街の様相も大きく変化しています。特に、クリエイティブ・コンテンツ産業にとって、渋谷の再開発による進化は大きな影響をもたらすでしょう。若者だけでなくオフィスワーカーにとって注目の街となっていく渋谷から今後も目が離せません。

目覚ましい成長を遂げているIT企業は渋谷を好む

渋谷の街並み

渋谷の街並み

1990年代後半に日本でインターネットが普及して以降、IT関連企業の成長が止まりません。この1990年代後半から2000年代初頭にかけてはITバブル時代として知られ、渋谷にITのベンチャー企業が集結しました。この時代の渋谷は「ビットバレー」と呼ばれたことでも有名です。「ビットバレー」の名称は、アメリカ、カリフォルニア州のサンフランシスコに位置するIT企業やベンチャー企業が集結するエリア「シリコンバレー」に由来しています。IT関連企業が集中する渋谷の「渋(bitter)」と「谷(valley)」を組み合わせて、「Bit Valley」と呼ばれるようになりました。
しかし、その頃の渋谷の賃貸事務所の多くは小規模なオフィスビルでした。事業が拡大するにつれて、オフィスが手狭になってきた企業も多く、2003年の六本木ヒルズの開業により、渋谷で成功を収めたIT企業が続けてヒルズへと移転をしていくことになります。そのため、渋谷がIT企業の集まる街であるというイメージは次第に薄くなっていきました。しかし、現在でもミクシィやサイバーエージェント、GMOインターネット、LINE、DeNAなどの多くの一流IT企業が渋谷に拠点を構えています。そして、その渋谷に、現在再びIT企業が集結し始めているのです。2017年、Googleの日本法人が2019年に六本木ヒルズから移転することを発表しました。移転先は2018年に竣工予定の渋谷ストリームです。渋谷ストリームは、渋谷川沿いの東横線跡地に誕生予定の大規模複合施設です。渋谷エリアの中で唯一、川が地上を流れる空間に立地予定で、まさに都会のオアシス的存在となりそうです。
そもそも、1990年代後半に渋谷にIT企業やベンチャー企業が集結した理由には、様々な理由があります。当時の渋谷は常に多くの若者が行き交うファッションや音楽、カルチャーなどの流行の発信地でした。さらに、渋谷には以前から映像・広告・出版等のクリエイティブな事業を展開する企業が集結していました。スーツに身を包んだオフィスワーカーが行き交うオフィス街、丸の内・大手町とは異なり、この渋谷の自由な雰囲気は新しい事業を興そうとしているIT企業家やベンチャー起業家の目に魅力的に映ったのでしょう。さらに、渋谷は副都心としても知られ、渋谷駅は山手線をはじめとしたJR各線、京王井の頭線、東急東横線、東京メトロ銀座線、半蔵門線、副都心線などの多くの路線が乗り入れるビッグターミナルです。東京都心においても、特に優れて交通の便が良いことも賃貸事務所を構える場所としては大きなメリットになるのです。
以上のような要素が相まって、渋谷にIT企業やベンチャー企業が集結していったことが考えられます。あるIT企業が渋谷に拠点を置くことが、また新たな企業を呼び込むことにも繋がり、「ビットバレー」と呼ばれるムーブメントを巻き起こしていったのでしょう。
前述したGoogleの日本法人は、もともと東急セルリアンタワーに拠点を置いていました。事業の拡大により手狭になったことで、六本木ヒルズに移転しましたが、2019年に再び渋谷に戻ってくることを明らかにしています。東急セルリアンタワーには現在GMOインターネットが入居しています。2012年には渋谷ヒカリエにDeNAが入居。さらに、2019年にはミクシィが現在建設中の渋谷スクランブルスクエアにオフィスの集約を予定しています。
また、今後、渋谷では大規模な再開発事業が予定されています。Googleが渋谷に再度移転することに決めた背景にも、渋谷の街が今後整備されると共に、大規模賃貸事務所が増加していくことが関係していると言われています。2027年までに渋谷エリアで予定されている再開発事業は10件以上に及び、今後もGoogleのように他の場所から渋谷に移転するIT企業が増えていくことが予想されます。
さらに、渋谷では近年、コワーキングスペースの増加が顕著です。IT系のノマドワーカーもこのコワーキングスペースを多数利用しており、その場で出会ったノマドワーカー同士が連携して新しいビジネスを生み出す機会も少なくありません。これらのコワーキングスペースの増加に伴って、クラウドソーシングサービスの大手ランサーズやクラウドワークスも渋谷に拠点を移転しました。
新しいことへの挑戦に適した自由な風土を持つ渋谷。これからもクリエイティブ事業を展開する企業やIT関連企業がさらに集結してくるのではないでしょうか。

育児を伴うビジネスマンの働き方

近年、共働き夫婦世帯の増加が顕著にみられます。そのような状況の中、子供を預けて働く保育所の利用者も年々増加しており、入所できなかった待機児童の問題は社会問題にもなっています。今回は、育児を伴う働き方について考えていきたいと思います。
厚生労働省の調べによると、共働き家庭は、現在1000万世帯を超え、さらに増加し続けています。それに伴い、子供を預けて働くことを希望する家庭も増えていますが、保育所自体が不足していたり、利用定員を超えてしまうために入所できず、待機している状態の待機児童も増加しています。また、保育所だけでなく、小学校入学後の子供の預け先である学童施設も同じ状況にあり、待機児童が発生しています。この待機児童問題は社会問題にもなっており、インターネット上に書き込まれた「保育園落ちた日本しね」のワードが2016年のユーキャン流行語大賞に選ばれたことも有名です。
待機児童は、特に人口が集中している都市部に多くみられます。国や地方自治体も待機児童対策に力を入れていますが、保育所の増設が間に合わず、待機児童が増え続けているのが現状です。保育所の増設が間に合わない原因のひとつには、住民の保育所建設の反対の声も関係しています。日中の大半を家の中で過ごす高齢者などの中には、子供の声を騒音と感じる人もいます。そのため、近所に保育所が新設されることで、自分達の静かな生活が乱されると考え、保育所の新設に反対の声を上げ、自治体が諦めるというケースも少なくありません。
また、待機児童として公にカウントされない「隠れ待機児童」の存在もあります。希望している認可保育所には入所できず、認可外の保育所に入所している児童や保育所に入れないために、保護者が求職を諦めてしまったり、育児休暇を延長する場合などがこれにあたります。
そのような状況の中、内閣府による企業主導型保育所のサービスが2016年度から開始しました。企業主導型保育所とは、その名称どおり企業主導型の保育事業で、多様な就労形態に対応する保育サービスの拡大を実施し、仕事と子育ての両立に役立てることを目的としています。内閣府は、企業主導型保育所の主な特徴を「働き方に応じた多様で柔軟な保育サービスが提供できる」「複数の企業が共同で設置できる」「他企業との共同利用や地域住民の子供の受け入れができる」「運営費・設備費について認可施設並みの助成が受けられる」と謳っています。
企業主導型保育所は、企業が設置する保育所ということで、事業所内保育所と同じように思われる方もいるようですが、両者は異なるサービスです。どちらも企業が従業員の仕事と子育ての両立のために設置している点では同じですが、事業所内保育所が市区町村の認可事業なのに対し、企業主導型保育所は認可外の保育所です。認可事業である事業所内保育所は、利用するために自治体による保育の必要性の認定が必要となります。そのため、短時間勤務や週数回のパート勤務の場合には利用できない可能性が高くなります。一方の企業主導型保育所は、企業と利用者が直接契約を結ぶため、自治体による保育認定が受けられなくても利用が可能なのです。企業主導型保育所は認可外ということで、利用料金が高くなるのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし、認可外ではあるものの、認可施設並みの助成が受けられるため、利用料金も認可保育所と同水準に設定されています。また、通勤や子供の送り迎えに便利な場所に設置されていることが多いのもポイントです。多様な働き方に柔軟に対応可能で、かつ利用料金も認可保育所と変わらない企業主導型保育所は、利用者にとって多くのメリットがあります。さらに企業主導型保育所は、設備や保育環境に関しても一定基準以上であることが求められているため、子供を安心して預けられるのも魅力のひとつです。
また、企業主導型保育所は、利用者だけでなく企業側にもメリットがあります。多様な働き方のニーズに合わせて保育所の利用ができるため、従業員が安心して働くことができ、離職率の低下にも繋がるのです。昨今は少子高齢化に伴い、人材不足に悩む企業も多くみられます。そのような状況の中、企業主導型保育所の設置は福利厚生の面でも従業員の満足度が上がると言えるでしょう。他の企業との共同運営が可能なため、経営面でのリスクも分散できます。また、地域住民の子供を受け入れることで、その地域への貢献にも繋がるのです。
このように、利用者、企業双方にメリットの多い企業主導型保育所は、今後さらにサービスを拡大していくのではないでしょうか。

賃貸事務所にカフェスペースを設ける企業の増加

会社のリフレッシュスペースと聞くと、数台の自動販売機にベンチ、テーブルという殺風景な空間を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、最近では賃貸事務所のオフィス内にまるでカフェのようなスペースを設ける企業が増えているのです。今回は、賃貸事務所にカフェスペースを設けるメリットを中心にみていきましょう。

カフェスペース イメージ画像

カフェスペース イメージ画像

近年、社内にカフェスペースを導入する企業が増加しています。コーヒーマシンを用意して、いつでも美味しいコーヒーを飲めるオフィスが増えているほか、バーカウンターやソファを設置して、一見会社の中とは思えないようなお洒落なカフェスペースを導入しているオフィスもあるようです。オフィスにカフェスペースを設けることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。順番にみていきましょう。

・気分転換が図れる
ずっとパソコンや書類に向かって作業していると、どうしても途中で集中力が切れてきます。そんな時に自分のデスクで休憩しても、何だか休んだ気がしないという方もいるのではないでしょうか。作業場であるデスクを離れて、雰囲気の良いカフェスペースでドリンクを飲めば、すっきりリフレッシュできて、休憩後の作業効率も上がりそうです。

・社内コミュニケーションが取りやすい
同じ会社にいても違う部署の人とは意外と話す機会がないという方もいるかもしれません。カフェスペースを設けることで、今まであまり話をしなかった社員ともコミュニケーションが取れるようになり、会社全体の雰囲気が活性化される可能性もあるでしょう。

・雑談から新しいアイデアが生まれやすくなる
デスクで他の社員と雑談をする機会もあるかもしれませんが、仕事をする場所での会話はどうしても硬いものになりがちです。お洒落なカフェスペースなら気軽に雑談ができ、リラックスした雰囲気の中から新しいビジネスアイデアが生まれることもあります。

・社内で美味しいドリンクが飲める
オフィスにカフェスペースがなく、賃貸事務所の近所にもカフェ等がない場合、自動販売機やコンビニで缶コーヒーを買ってくるしかありません。カフェスペースを社内に作って、コーヒーマシンを設置すれば、本物のカフェのような美味しいコーヒーを飲むことができます。コーヒーが苦手な方は、様々なフレーバーのティーバッグを用意するのも良いかもしれません。

・企業のイメージアップにつながる
お洒落なカフェスペースは、その企業のブランディングにもなります。会社に訪問した取引先に良い印象を与えるだけでなく、新しい人材にも魅力的なオフィス環境をアピールできるでしょう。

それでは、社内にカフェスペースを設けるには、どのような方法があるのでしょうか。中には、「場所を確保できない」「コストがかけられない」という理由からカフェスペースの設置を躊躇してしまう場合もあるかもしれません。しかし、最近では1坪からカフェスペースを設置することができるのです。円形テーブルなどを利用して、小さな空間にお洒落なカフェスペースを設けている会社もあります。オフィスにカフェスペースを導入する方法をご紹介しましょう。・DIYで作る社員が自分達で、カフェスペースのデザインのアイデアを出し、イスやカウンター等の家具を用意する方法です。コーヒーマシンはレンタルでリーズナブルに済ませることができます。・施工業者に依頼する施工業者に依頼して、オフィス内にカフェスペースを設置してもらう方法です。どのようなデザインのスペースにするか社員同士でイメージを共有しておくと良いでしょう。・専用のサービスを利用する最近はオフィスにカフェスペースを丸ごと提供するサービスもあります。それぞれの会社のニーズに応じて様々なプランが用意されており、1坪からカフェスペースを設置することができます。月額費用を支払うことで、コーヒーマシンやコーヒー豆はもちろん、スイーツを届けてくれるプランもあります。

このように、様々なメリットがあることから、最近ではオフィスの中にカフェスペースを設ける会社が増えてきています。「社内のコミュニケーションが不足している」「オフィス内の雰囲気を活性化したい」とお考えの企業様は、カフェスペースの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

コストパフォーマンスの高い賃貸オフィス

オフィス移転を考えた際に、できるだけコストパフォーマンスの良い賃貸事務所を探したいと思う方も多いのではないでしょうか。どのような賃貸事務所をコストパフォーマンスが良いと感じるかは、各企業が新しいオフィスに求める条件によっても異なります。例えば、単純に賃貸料が安い物件はもちろん、交通アクセスの良さや周辺環境の便利さ、さらに企業によってはビルの立地するエリアのブランド価値を求める場合もあるでしょう。今回は、賃貸事務所のコストパフォーマンスについて考えていきたいと思います。
各企業が賃貸事務所に求める条件は様々です。ニーズに適っていて、さらに賃貸料にも満足できれば、その賃貸事務所はコストパフォーマンスの良いビルとなります。例えば、賃貸事務所を探す上で、周辺環境の便利さ、交通アクセスの良さ等の立地条件を重視する企業は多いです。しかしながら、交通の便が良く、周辺に飲食店やコンビニ、郵便局、金融機関等の揃ったエリアは、ターミナル駅周辺が多く、総じて賃貸料が高い傾向にあります。立地環境は申し分ないものの、賃貸料の面で物件探しが困難な場合には、ターミナル駅の隣駅に目を向けてみると良いでしょう。例えば、東京メトロ日比谷線で恵比寿駅の隣の中目黒駅や京王新線で新宿駅の隣の初台駅等は、隣のターミナル駅に比べてグッと賃貸料が下がる傾向にあります。ビルの立地場所によっては、ターミナル駅から徒歩で通勤することも可能ですし、エリアのブランドイメージは下がらないまま賃貸料が安くなるので狙い目の場所と言えます。
また、千代田区、中央区、港区の都心3区は賃貸事務所の数、ニーズ共に多いエリアです。賃貸料も高い傾向にありますが、場所によっては少し安めの賃貸料で、コストパフォーマンスの良い賃貸事務所を探すこともできます。例えば、中央区では日本を代表するターミナル駅である東京駅周辺の賃貸事務所は軒並み賃貸料が高くなります。京橋や日本橋エリアも八重洲周辺同様、再開発事業が進んでおり、やはり賃貸料は高めの傾向にあります。一方、同じ中央区でも、馬喰町周辺や築地・八丁堀・茅場町周辺、小伝馬町・人形町周辺は、賃貸料の相場が低いため、コストパフォーマンスの良い賃貸事務所を探しやすいエリアです。また、都心3区ではありませんが、新宿区であれば四谷・信濃町エリアは、新宿駅周辺に比べ、だいぶ賃貸料の安い賃貸事務所を見つけられる可能性が高くなります。さらに、新宿駅、渋谷駅周辺では賃貸料が高くて物件を探せないという場合には、品川駅周辺や大崎駅周辺で賃貸事務所を探してみるのもおすすめです。品川区は、都心へのアクセスも良好なエリアなので、移転先の候補地として検討してみると良いでしょう。ただし、五反田駅周辺は歓楽街が形成されており、風俗店等も多いので注意した方が良いかもしれません。
また、千代田区の大手町・丸の内エリアや中央区の銀座エリアは、賃貸料は高額ですが、場所のイメージが良いため、ブランディング的な面からみるとコストパフォーマンスが良いとも言えます。大手町・丸の内は一流企業の本社をはじめ、経団連や東京商工会議所が入居するオフィスビルも所在する日本でも有数のオフィス街です。このエリアに拠点を構えることは企業のイメージアップにも繋がります。他に、銀座エリアも企業のブランドイメージの良い場所です。一流ブランドのショップが建ち並び華やかさの感じられるエリアでもあるため、特に、ブライダルや美容関連の企業や店舗が拠点を構える場所として最適だと言えるでしょう。
このように、コストパフォーマンスの良い賃貸事務所は、それぞれの企業がオフィスに何を求めているかによっても変わってきます。そのため、コストパフォーマンスの良い賃貸事務所を見つけるには、まず移転先のオフィスの条件として何を優先させるかをはっきりさせておくことが大切です。各エリアの特徴や賃貸料が分からない場合には、不動産会社に問い合わせてみることをおすすめします。求める条件を明確にした上で、その条件に合う賃貸事務所を信頼できる不動産会社に探してもらうことが、コストパフォーマンスの良い賃貸事務所を見つけられる一番の近道だと言えるでしょう。

ノマドワーカーという新しいかたち

近年、「ノマドワーカー」という働き方が話題になっています。ノマドワーカーの「ノマド」は、英語で「遊牧民」の意味。ノマドワーカーとは、働く場所を固定せずに、自由な時間に自由な場所で働く人達のことを指し、そのような働き方を「ノマドワーク」と言います。今回は、この「ノマドワーカー」という新しいかたちの働き方について詳しくみていきましょう。
ノマドワーカーは、オフィスに出勤することなく、ノートパソコンやタブレット、スマートフォンなどを活用し、カフェや公共の図書館、電車の中、屋外等の好きな場所で仕事をすることができます。ただし、最近ではWi-Fiに繋がる場所も増えていますが、Wi-Fi環境のない場所で仕事をする際にはモバイルルーターを持参する必要があります。満員の通勤電車に乗る必要もなく、好きな時間に好きな場所で仕事をできるノマドワーカーは、育児中の女性などからも人気の高い働き方として、近年話題を集めています。

ノマドワーカー イメージ画像

ノマドワーカー イメージ画像

このように、自由な働き方が魅力のノマドワーカーですが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。まずはメリットから順番にみていきましょう。

・自由な場所で自由に仕事ができる
その日の気分で、自宅、カフェ、公共の図書館、公園等の屋外等、自由な場所で仕事をすることができます。またWi-Fi環境さえあれば、電車などの移動中でも仕事が可能です。

・通勤時間をカットできる
オフィスに毎日通う場合は電車やバスに乗る通勤時間がかかりますが、ノマドワーカーは自宅や近所のカフェで仕事ができるため、通勤にかかる時間を仕事や自分の好きなことに使えるメリットがあります。

・職場の人間関係等のストレスから解放される
何人もの人が働いている職場には、面倒な人間関係が存在する場合もあります。ノマドワーカーは基本的に一人で仕事をするため、そのような煩わしい人間関係から解放されます。

・事務所の賃貸料がかからない
自宅やカフェなど自由な場所で仕事ができるため、賃貸事務所を借りる必要がなく賃貸料を節約できます。

いいことずくめのようなノマドワーカーですが、デメリットも存在します。詳しくみていきましょう。

・仕事とプライベートの切り替えが難しい
自由な場所で働くことができるノマドワーカーですが、その分仕事とプライベートの切り替えが難しい部分もあります。「ここまでは仕事」「ここからは自分の時間」としっかり決めるなど自己管理能力が必要となります。

・コミュニケーション不足
会社に出勤すれば、上司や同僚と話す機会がありますが、ノマドワーカーは一人で仕事をするため、人とのコミュニケーションが不足しがちになります。人によっては孤独感を感じるかもしれません。

・セキュリティや使用機器の問題
会社ではパソコン等にセキュリティシステムを導入している場合が多いですが、ノマドワーカーはこれらの対策を自分で行う必要があります。カフェ等の公共の場所などでは、注意していないとパソコンの画面を覗かれたり、情報が漏洩する可能性もないとは言い切れません。また、パソコン等の機器が故障した場合も自分で対応する必要があります。

・収入に波がある
ノマドワーカーは個人事業主等、フリーランスとして仕事をしている場合も多いです。フリーランスは固定収入ではないことが多いため、収入面で波がある場合もあります。国民年金や国民健康保険に自分で加入する必要もあります。

以上がノマドワーカーのメリット・デメリットです。ただし、誤解されやすいのがフリーランス=ノマドワーカーではないということです。実際、カフェ等で仕事をしている人にはフリーランスも多いですが、テレワークのように企業に所属している人もいます。また、営業マンが外回りの後などに、カフェ等に立ち寄って、仕事をすることもあります。営業業務や契約の後、わざわざ職場に戻ることなく、その日の報告や書類作成ができるため、時間や交通費を節約できるメリットがあるのです。
最近では、ノマドワーカーが仕事をしやすい環境を整えたノマドカフェが都心を中心に増加しています。Wi-Fi環境や電源はもちろん、タブレット端末やミーティングスペースが設置されているノマドカフェもあります。さらに、ノマドオフィスといって、カフェスペースとインターネット環境の整ったサービスオフィスの新形態も登場しています。ノマドオフィスは、不特定多数の客が利用するカフェと違って落ち着いて仕事ができるため、フリーランスはもちろん、外回りの多い営業マンにも重宝されています。
ご案内してきたように、ノマドワーカーには、メリットもデメリットもあります。しかし、働き方が見直されている今、ノマドワーカーというという新しいかたちの自由な働き方がこれからさらに増えてくるのかもしれません。