経済大国である日本ですが、実はアメリカや中国、韓国などの外国と比べると超高層ビルの数は多くありません。東京都心の新宿や丸の内エリアは、世界でも有数のオフィス街ですが、ビルの高さや集積率は外国よりも低くなっています。これには、地震大国日本におけるオフィスビルの耐震性やコスト等の問題もありますが、航空法による高さの規制が関係しています。航空法では、航空機が安全に離着陸するために、空港から最大24km以内の地域で建物の高さに制限がされています。制限の対象となる主な市区町村は、羽田空港のある大田区をはじめ、品川区、千代田区、港区、中央区、渋谷区等のビジネス街や江東区、江戸川区、葛飾区、目黒区、墨田区、足立区、台東区が含まれます。神奈川県では横浜市、川崎市に航空法の制限のかかる地域があります。このような理由から日本は諸外国に比べて超高層オフィスビルが決して多くはありませんでした。しかしながら、近年では規制緩和や航空法の制限を外れた区域等で、日本でも超高層ビルの建設が続いています。それでは、現在、竣工済みの日本の超高層賃貸オフィスビルを高さの高い順に10位までご紹介しましょう。
1.あべのハルカス
大阪市阿倍野区に立地する地上60階建て高さ300mの超高層ビルです。2014年に竣工し、大阪の新たなランドマークとなりました。あべのハルカスは日本初の高さ300mを超えるスーパートール(超高層建築物)でもあります。
2.横浜ランドマークタワー
横浜市西区に立地する1993年竣工、地上70階建て、高さ約296mの超高層ビルです。あべのハルカスが竣工されるまでの20年間に渡って横浜ランドマークタワーは日本一の高さのビルでした。
3.りんくうゲートタワー
大阪府泉佐野市に立地する超高層賃貸オフィスビルです。地上56階建て、高さ256.1mです。関西空港の近くに所在しており、1996年に竣工しました。
4.大阪府咲洲庁舎
大阪市住之江区に1995年に竣工した高さ256m、地上55階建ての超高層ビルです。
5.虎ノ門ヒルズ
東京都港区に立地する高さ255.5m、地上52階建ての超高層賃貸オフィスです。2014年の竣工以来、ミッドタウン・タワーを抜かし、東京都で最も高いオフィスビルとなりました。6階から35階のオフィスフロアには多くの一流企業が入居しています。
6.ミッドタウン・タワー
東京都港区に立地する高さ248.1m、地上54階建ての超高層ビルです。2007年に竣工しました。7階から44階までのオフィスフロアにはファースト・リテイリングをはじめ、多数の一流企業が入居しているほか、45階から53階までには高級ホテルのザ・リッツ・カールトンが入居しています。
7.ミッドランドスクエア
名古屋市中村区に立地する高さ約247m、地上47階建ての超高層賃貸オフィスビルです。2007年に竣工し、現在中部地方で最も高い賃貸オフィスになります。
8.JRセントラルタワーズオフィスタワー
ミッドランドスクエアと同じく名古屋市中村区に立地する超高層賃貸オフィスビルで、1999年に竣工しました。高さ245.1m、地上51階建てを誇るほか、ひとつの建物としては延べ面積が日本一広いことでも知られています。
9.東京都庁第一本庁舎
1991年竣工の東京都新宿区に立地する地上48階建て、高さ243.4mの超高層ビルです。竣工当時は日本一の高さを誇っていました。
10.NTTドコモ代々木ビル
東京都新宿区に立地する2000年竣工の高さ239.9m、地上28階建ての超高層ビルです。通称ドコモタワーと呼ばれ、東京では4番目の高さを誇ります。一般のオフィスビルと異なり、NTTドコモ専用ビルであるため、関係者以外の立ち入りは禁止されています。
以上が、現在、日本における高さ10位までの超高層オフィスビルです。しかし、2015年に三菱地所により発表された東京駅日本橋口前の「常盤橋街区再開発プロジェクト」によると、最も高い賃貸オフィスB棟は、高さ390m、61階建ての日本一のスーパートールとなる予定で、竣工は2027年を目指しています。その他にも、虎ノ門・麻布台地区で森ビルによる超高層ビルの建設計画が進められています。この計画ではA街区のビルが高さ約330mとなる予定で、竣工は2022年を目指しています。完成すれば東京駅日本橋口前の「常盤橋街区再開発プロジェクト」竣工までの一時的にではありますが、日本一の超高層賃貸オフィスビルになります。
もともと日本は、様々な規制のため、経済的な発展の割に超高層ビルが少ない国でした。しかし、現在、東京駅周辺を中心に、都心では大規模な再開発プロジェクトがいくつも進められています。今後、世界を牽引する経済大国であり続けるためにも、超高層賃貸オフィスビルの建設も進められていくのではないでしょうか。