再開発で大型化する東京の賃貸オフィス

2000年代から東京都内では丸の内エリアを皮切りに、様々な場所で再開発が進められてきました。そして、2020年の東京オリンピックに向けて、現在、都内の整備が急ピッチで広がっています。現在も、大型の再開発が計画されており、特に東京駅周辺では東京オリンピックが開催される2020年前後に完成予定の賃貸オフィスが多い傾向にあります。それでは、具体的な再開発計画についてみていきましょう。

まずは、丸の内・大手町・八重洲エリアです。「大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業」では、東京駅日本橋口前に日本一の高さ390mとなるB棟を含む高層ビルA・B・C・D棟の4棟が建設されます。2017年4月にD棟が着工し、2027年9月に全体の完成が予定されています。「大手町二丁目地区第一種市街地再開発事業」では大手町駅付近にA棟、B棟から成るツインビルが建設されます。A棟は高さ約178m延面積約202,000㎡、B棟は高さ約163m延面積約152,000㎡にも及ぶ大規模ビルで、完成は2018年7月の予定です。「東京駅前八重洲一丁目東地区再開発事業」では、東京駅八重洲口にA地区とB地区に分かれ賃貸オフィスが建設されます。A地区の賃貸オフィスは延べ面積約12,000㎡で主にオフィスと店舗、B地区は約228,000㎡でオフィス、店舗の他に医療施設やカンファレンス、バスターミナルも建設されます。完成は2024年3月が予定されています。「八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業」では、A1街区に地上45階地下4階建て高さ約245m、延べ面積約28万7100㎡の高層ビルが建設されます。テナントの多くはオフィスとなりますが、高層階がホテル、低層階は小学校、地下はバスターミナルとなる予定で2021年4月に完成を目指しています。

大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業

京橋、日本橋も再開発が活発に進められているエリアです。「京橋二丁目西地区第一種市街地再開発事業」は、銀座線の京橋駅と直結する約1haのエリアで進められ、京橋エドグランという名の複合施設が2016年に竣工しました。また、「日本橋二丁目地区第一種市街地再開発事業」では、高さ160mのビル1棟と180mのビル2棟の計3棟の高層賃貸オフィスが建設されます。総延べ面積は約422,220㎡で東京ドームの約2個分。日本橋エリアでは過去最大規模の再開発となります。A街区は竣工済みですが、全体の竣工は2018年度中を予定しています。 日本有数の繁華街として知られる銀座にも再開発の波が押し寄せています。「銀座六丁目10地区第一種市街地再開発事業」として進められた再開発計画では、松坂屋銀座店跡地を含む街区と隣接する街区によって構成された約1.4haが整備されました。2017年、建物の名称を「GINZASIX」として竣工しています。
虎ノ門・赤坂・新橋などの港区でも、近年再開発事業が盛んで大規模複合施設の建設が進んでいます。2014年竣工の「虎ノ門ヒルズ」は新しい東京のランドマークとなりました。現在も「虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業」として高さ約179m、延べ面積約250,000㎡の大規模賃貸オフィスの建設計画が進められており、2019年着工、2022年完成を目指しています。他にも「虎ノ門四丁目プロジェクト」として超高層オフィスビルの建設が進められています。オフィスの他に店舗やホテル、サービスアパートメントの入居が決まっており、2018年に完成予定となっています。赤坂では「赤坂一丁目地区第一種市街地再開発事業」が進められ、2017年に超高層複合ビルの「赤坂インターシティAIR」が竣工しています。また、サラリーマンの聖地として有名な新橋エリアでは、ゆりかもめで隣駅の汐留に2000年代、巨大複合都市「汐留シオサイト」が誕生しました。現在は、大型賃貸オフィスをはじめ、ホテルや店舗が建ち並ぶ観光名所となっています。
渋谷では、東急グループを中心に再開発事業が進んでいます。2012年には新たな渋谷のランドマークとなった「渋谷ヒカリエ」がオープン。現在も施設名称を「渋谷スクランブルスクエア」と決定した「渋谷駅街区開発計画」が進められており、2019年度には第一期として高さ約230mの高層賃貸オフィスが竣工予定です。低層階は商業施設、高層階はオフィスフロアとしてオープン定で、オフィス基準階は最高約870坪を誇り、「渋谷ヒカリエ」に続く新たな渋谷のランドマークとなることは間違いありません。その他にも施設名称を「渋谷ストリーム」とした「渋谷駅南街区プロジェクト」も進められており、2018年秋に開業予定となっています。
新宿では超高層タワーマンションの建設されているほか、四谷エリアで「四谷駅前地区第一種市街地再開発事業」が進められています。四ツ谷駅前の約5000㎡に及ぶ敷地に緑豊かな空間が整備され、地上31階建ての高層賃貸オフィスや複合施設が建設されます。この四谷のランドマークの完成は2019年を予定しています。 上野・秋葉原エリアでも再開発は盛んです。「松坂屋上野店南館建替計画」では「松坂屋上野店南館」が高さ約117m延べ面積約41,000㎡の「上野フロンティアタワー」に建て替えられ、2017年に竣工しました。
また秋葉原駅前にも、高さ111.99m、延べ面積1,640㎡の高層複合ビルが「神田練塀町地区第一種市街地再開発事業」として建設中です。オフィスや住宅から構成されるこのビルは2019年に竣工を予定しています。 その他にも大崎駅南400mの距離の区域で「西品川一丁目地区第一種市街地再開発事業」が進められA街区のオフィスエリアは2018年8月の完成予定です。
浜松町では、「浜松町西地区再開発事業」が進められています。駅前に高さ200mの「世界貿易センタービル」の建て替えである高層賃貸オフィスA1棟を建設中のほか、高さ156mのB棟である「日生浜松町クレアタワー」、高さ200mのA3棟も建設が進んでいます。竹芝側でも高さ200mを越えるツインタワーが建設中であり、この計画が進むと浜松町から汐留にかけてのエリアでは、200m以上の高層賃貸オフィスが林立することになります。

このように、都心では様々なエリアで再開発事業が進んでおり、それに伴い大型賃貸オフィスが次々に建設されています。東京オリンピック開催後の2020年以降には、東京にはさらに進化したオフィスビルが立ち並ぶオフィス街が誕生しているでしょう。