トランクルームの新しいかたち

近年、トランクルームサービスの需要が増加しています。トランクルームとは貸倉庫のことで、荷物を保管しておく場所のことです。企業の場合には日常使用しない書類やOA機器等を収納することが多くなっています。個人の場合には、普段使わないスキー・キャンプ用品等のレジャー用品や衣類を預けたり、出張時や家の建て替え時に荷物を収納しておくこともあるでしょう。以前は、トランクルームといえば、企業以外では富裕層の利用が目立っていましたが、最近では一般の人にもトランクルームが普及してきました。これには、2011年の東日本大震災の影響があると考えられています。普段使わない家財道具等をトランクルームに預けておくことで、万が一自宅が倒壊してもリスクの分散が図れるという目的があるのです。トランクルームは、運営形態や収納の仕方でいくつかに分類されます。それでは、まず運営形態による分類からみていきましょう。

・倉庫業法に基づいた国土交通省が定める「標準トランクルームサービス約款」が採用されている営業倉庫型トランクルームです。寄託契約によって物品を預け、荷物の出し入れは倉庫業者が行うか、利用者が行う場合には倉庫業者が立ち会うことになっています。

・不動産業者が収納スペースを提供するサービスとしてのトランクルームです。倉庫業法によるものではなく、不動産賃貸借契約によるサービスであるため、不動産業者は預かった荷物に対する保管責任を負いません。荷物の出し入れは一般的に利用者本人が24時間いつでも自由に行うことができます。
では、次に収納方法によるトランクルームの分類についてみていきたいと思います。

・屋内型:ビルやマンションの一室を様々な大きさのスペースに分割し、トランクルームとして提供します。都心に多くあるタイプのトランクルームです。料金は屋外型に比べて高く、管理費がかかる場合もあります。管理人が常駐しているビルやマンションもあるため、セキュリティがしっかりしている点もメリットです。スペースがあまり広くないため、大型の荷物の保管には適していません。

屋内型トランクルーム イメージ画像

屋内型トランクルーム イメージ画像

・屋外コンテナ型:空き地等にコンテナを設置して、中に荷物を収納します。郊外に多くあるタイプのトランクルームで、目の前まで車で荷物を運ぶことができる点が便利です。費用は屋内型に比べて割安で、スペースが広いため大型の荷物も保管できます。半面、屋外のため、湿度管理等がされず、書類や書籍、毛皮等、デリケートな物品の保管には適さない面もあります。雨風の強い日に荷物の保管や出し入れを行うと物品が傷んでしまう可能性もあります。

屋外型トランクルーム イメージ画像

屋外型トランクルーム イメージ画像

また、新しいトランクルームサービスとして、近年注目を集めているのが宅配型のトランクルームです。宅配型トランクルームとは、利用者本人ではなく、運送業者や引っ越し業者のスタッフが代わりに荷物をトランクルームまで運び、保管や出し入れを行ってくれるサービスです。通常のトランクルームの場合には、車がないと荷物を預けたり、出し入れをしたりすることが困難ですが、この宅配型トランクルームサービスは車を所有していない人にも適しています。また、サービスによってはWebから荷物の保管、出し入れを申し込むことができるほか、段ボール1箱分のスペースから借りることも可能なため、費用もリーズナブルで済みます。保管場所は郊外が多いですが、配送業者が運搬してくれるので距離を気にする必要はないでしょう。保管している荷物の内容はWebから写真で確認することができるようになっています。宅配型トランクルームのデメリットは、預けている荷物が必要になった時に手軽に自分で取りに行くことができないことです。運送業者に配送してもらうには、まずWeb等で手続きが必要となるため、その手間を面倒だと感じる人もいるかもしれません。また、荷物が届く日には自宅で待機している必要もあります。
このように、近年、利用者の増えているトランクルームには、様々な種類があります。中でも、最近注目を浴びている宅配型トランクルームは、自分で荷物の運搬をしなくて良いのが何よりの魅力です。社用車を所有していない企業が日常使用しない事務機器等を収納する場合にも適しているのではないでしょうか。トランクルームサービスを利用する際には、それぞれのトランクルームの特徴をよく理解し、最適なサービスを選択するようにしたいですね。